最先端の建築美を誇る青山プラダビル
表参道駅から「みゆき通り」を根津美術館方向に進むと右手に現れる巨大なカットグラスのようなひときわ目を引くユニークな建造物がある。これが有名なイタリアのファッションブランド 『プラダ』の青山フラッグシップ店だ。これを語らずして南青山の建築物について語ることはできない。まるで水槽のように全面ガラスのインパクトのある現代建築である。スイス出身の建築家「ジャック・ヘルツォーク」と「ピエール・ド・ムロン」のデザインで、このコンビは、2001年にロンドンの美術館「テート・モダン」で、プリツカー賞を受賞している世界的に著名な建築家ユニットである。


100年を超えるプラダの歴史
イタリアのファッションブランドである「PRADA(プラダ)」は、世界を代表するトップブランドとして確固たる地位を築き、今なお進化と挑戦を続けている。プラダの歴史は1913年にマリオ・プラダとフラテッリ・プラダがミラノに開いた一軒の皮革製品店から始まる。上質な素材と高い職人技術によって高品質なアイテムを生み出し、一代でイタリア王室の御用達になるほど成功を収めた。しかし、創業者の死後、ブランドは低迷。1978年に創業者の孫娘ミウッチャ・プラダがオーナー兼デザイナーに就任し、ブランドに新たな風を吹き込み、復活を果たす。現在、プラダはバッグ、シューズ、衣料品などを展開し、新たに姉妹ブランド「miu miu(ミュウミュウ)」も設立(斜め前に青山店がある)している。歴史・伝統とモダンの調和がトレードマークのプラダは、世界中のファンに愛されている。

2003年6月7日に開店したプラダの基幹店舗である。世界的に著名な建築家ユニットであるスイス出身の建築家「ジャック・ヘルツォーク」と「ピエール・ド・ムロン」によるデザイン・設計である。彼らの作品としては、北京オリンピックのメインスタジアム「鳥の巣」が有名だが、この青山プラダビルは、彼らが日本で手掛けた最初の建築作品となる。

2001年4月から2003年5月にかけて建設(施工:竹中工務店)された地上7階(地下2階)建てのビルは、東京で最も個性的な建築物の一つといえよう。巨大なクリスタルを思わせる全面ガラスの透明感のある外観。ひし形を形成し建物の主体構造を担う斜めの格子、地下に免振装置を設置するなど耐震性についても配慮されている。光の加減とデザインと構造が一体化した作りは真に革新的であり、この作品でヘルツォークとムロンは、日本建築協会賞を受賞している。
南青山の地に、イタリアのファッションブランドがスイスの建築家に依頼し、日本の建築会社が施工するという国際的なコラボレーションによって生まれたこの傑作建築は、存在感のある南青山のランドマークとして、国内外の多くの人々を魅了し続けている。