街を歩いていて何気なく見過ごしてしまう建物や装飾が、実は超有名なデザイナーや建築家によるものだったなどということはままあるだろう。この南青山にも、あの東京オリンピックのエンブレムをデザインした有名なデザイナー野老(ところ)朝雄氏が手掛けた壁面や空間装飾が、私の知る限り2箇所ある。まず最初は、南青山5丁目のマンション The Upper Residencesだ。エントランスの上部をぐるりと囲む大きな空間装飾がその一つだ。気にしないとそのまま通り過ぎてしまいそうだが、よく見ると同じ形状のパーツが無数に連結し美しい造形美を生み出しており、一目で野老作品だということがわかる。



次の作品は、根津美術館の交差点から青山墓地方面に向かい、一つ目の信号を右に折れて路地を少し下ったすぐ右手にある建物だ。外壁のタイルの文様は、一目見て野老デザインとわかる。青山霊園立山墓地の横にある江戸時代からある古くて狭い道沿いにひっそりと建っている。普段から人通りが少ない場所なので、気づく人もそう多くはあるまい。デザインに対する施主の強いこだわりを感じる。

